「……で、ついでに謝っておくけど」
「うん」

ごくりと喉を鳴らす弓塚。

「どうなっても……知らないからな」
 

その肩を掴んで煎餅布団の上へと押し倒した。
 
 

『ななこ・すーぱーがーるカンパニー』
その60




「あ……やっ」

オレの指が触れるたびに身悶える弓塚。

人差し指、中指、薬指と順番に力を入れていく。

「っ……くぁっ……」

弓塚の口から息が漏れる。

「どうだ?」

その丸みを確かめながら耳元で尋ねるオレ。

「うん……気持ち……いい」

大きく息を吐きながら答える弓塚。

「そうか、そりゃよかった」

今度は強く揉んでみた。

「やっ……」

弓塚が体をびくつかせる。

「悪い」
「や、優しくしてよぅ」
「だから悪いってば」

再びゆっくりと揉んでいく。

親指をぐりぐり擦りつけると、弓塚はくすぐったそうにしていた。

「そら」

形を指でなぞる。

「あぁ……」

弓塚は恍惚としていた。

「なかなかのもんだろ」

尋ねる。

「……うん」

小さく頷く弓塚。

「乾くん、肩揉むの上手いんだね」
「姉貴に散々やらされたからな」

まあ何て事はない。

オレは弓塚を起こして肩を揉んでやっていただけである。

なんせ、押し倒した直後のこいつときたら、それこそ唇をぎゅっとかみ締めて頬を引きつらせてたからな。

「ちったぁ落ち着いたか?」
「そうだね」

あんな状態じゃさすがにどうしようもなかった。

「じゃあ……」

くいと肩を引っ張り体を引き寄せる。

「あっ」

弓塚の体がオレと密着した。

「……」

オレが横から覗き込むと、恥ずかしそうに目線を逸らせる。

さて、こっからがいよいよ本番なわけだが。

「あ、あのね、乾くん」
「なんだ」
「わ、わたし、その、こういうの、はじめてだから……」

顔を真っ赤にして、囁くような声を出す弓塚。

「そりゃそうだろうな」

遠野くん一筋だった弓塚が、他の相手とこういう状況になっているはずがない。

「……わかってるんだから言うな、そんな事」

不覚にもくらりときてしまった。

こういうセリフは正直反則だと思う。

「うん……」

大きく息を吐く弓塚。

さっきよりは緊張はほぐれたようだったが、やはりその表情には不安が強く出ていた。

「……」

取りあえず頬を撫でてやる。

「乾くん……」
「ほれ、バンザイして」
「え、あ」

言われたとおり大人しく手を挙げる弓塚。

「脱がすぞ」

そのままひょいと上着を脱がせてしまう。

「……それくらい自分で出来たのに」
「バカ、こういうのは脱がせるのが燃えるんだぞ」

上着を投げ捨て、今度はワイシャツのボタンに手を伸ばす。

ぷちん、ぷちん。

外す音がいやに音が耳に響いた。

「さてと」

全てのボタンを外し終わる。

はだけたシャツの隙間から、弓塚の薄桃色い肌と青い布に包まれた膨らみが見えた。

「……意外と胸あるんだな、おまえ」
「そ、そんな事言わないでよ」
「いやほんとに」

体を横に移動させ、弓塚を引っ張る。

「あっ」

ぽてん。

煎餅布団の上に転がる弓塚。

胸といいお腹のラインといい、結構いいスタイルをしていた。

「さて」

取りあえずここまでは弓塚の体に極力触れないようにしてきたが。

いよいよ反応を見るか。

「触るぞ」

弓塚の横に座り、手を伸ばす。

「……あっ」

まずは小手調べと、肩から腕にかけてのラインを手でなぞる。

「……」

弓塚は何も言わず、大人しく体を触られていた。

手に触れると、指をオレの指を絡ませる。

「乾くん……」

反応はまずまずだった。

手を握り合ったまま、空いた手で髪の毛や頬に触れる。

テクニックなんか知らないので、なるべく力を入れずに優しく触れてみた。

「……はぅ」

弓塚が熱い息を吐いた。

「弓塚……」

今度は手をお腹に移動させた。

時計回りにゆっくりと撫でてやる。

「筋肉が足らんな。柔らかいぞ」
「か、固いほうが嫌だと思うけど……」
「そりゃそうだな」

おへそを中心にして円を描き続けてみた。

「く、くすぐったいよ」

口元へ手を当てる弓塚。

弓塚が呼吸をするたび、その動きで手のひらが動くのを感じる。

「……」

だんだんと円を上へずらしていく。

何度目かの回転でブラジャーの中心に人差し指が当たった。

「こっちはどうかな」

絡めていた手を解き、胸にそっと触れる。

「あっ……や、やだっ」

身をよじらせる弓塚。

「……止めるか?」
「だ、大丈夫……びっくりしただけ……だから」
「そうか」

軽く触れただけでこの反応とは。

「じゃあ、続けるぞ?」
「う、うん」

胸を触るのはとりあえず止めて、再び肩から首にかけてのラインを手でなぞる。

「……はぁっ」
「弓塚」

頬に手を当て、顎を軽く上にあげてやる。

「あ……」

瞳をじっと見つめると、目線を逸らされてしまった。

「……」

それでも顔を近づける。

「……っ」

怯えたような表情で、ぎゅっと目を閉じてしまう弓塚。

「……」

オレはおでこに軽く口付けをした。

本当なら口にするつもりだったんだけど。

「……あ?」

弓塚は驚いたような、どこか安堵したような顔をしていた。

「まどろっこしいな」

少し強引にいってみるか。

「下、触るからな」
「えっ?」

足へ手を這わす。

「あっ……」

弓塚の太ももは柔らかく、さわり心地がよかった。

「ぁ……うっ」

その指を上にスライドさせ、ゆっくりとスカートの中へ侵入させていく。

「やっ……!」

太ももから指を離し、まだ誰も触れた事のないであろう秘部へと手を伸ばす。

「や……やだっ……!」

抵抗する弓塚に、大きく体を押しのけられてしまった。

「……そうか」

オレは体を起こし、後ろを向いた。

「え……?」
「もう止めだ止め」
「ど、どうしてっ?」

胸に触れただけで過剰な反応。

キスすら嫌がられて。

肝心の部分には触れる事すら出来ない。

「無理だろこれじゃ」

いや。

たとえ弓塚が拒まなくても、オレは最後までやらなかっただろう。

「そ、そんな事ないよっ。わたし……」

起き上がる弓塚。

「まだ未練あるだろ? 遠野に」
「……」
「おまえはさ、遠野に女がいるってんでショックを受けて、そこに肉体の疲労があったから不安定になってるだけだよ」
「そんな事……」
「ある」

オレは弓塚の体を触っているうちに、変に冷静になってしまっていた。

「血が足りないなら、輸血パックを使えばいい。無いってんなら姉貴の知り合いに頼んで貰って来る」

オレの血を吸わなくても、そんな行為なんぞしなくたって弓塚の助かる手段はあったのだ。

それに気付いてしまってから、急に意識が冷めてしまったのだ。

「オレとこんな事しなくたっていいんだよ」
「そ、それは……」
「血はオマエにとって最も重要なものなんだからさ。忘れちゃまずいだろ」
「……」

弓塚は何も言わず、しばらく俯いていた。

「だからもうこんな事……」
「なら……ならっ!」

叫びながら顔を上げた弓塚。

その表情には、何か決意を秘めたものがあった。

「乾くんはわたしが輸血パックの事忘れてたからこういう事したって思ってるのっ?」
「違うのか?」

大きく首を振る。

「忘れてないよ、そんなの。わかってる。わかってるけど……」

弓塚はきっとオレの目を見据え、言った。
 

「……わたしは、乾くんに助けて貰いたかったのっ! 乾くんが欲しかったのっ!」
 

続く



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