「うろたえるな小僧ども!」

ずしゃああっ!

シオンの壮絶な一撃を喰らって吹っ飛ぶ俺。

「きゃーっ! 生シオンですよ、牡羊座ですよ、教皇ですよー!」
「……それだけのために俺は吹っ飛ばされたのか」

床に倒れつつ俺は思った。

ああ、そういえば例の吹っ飛び方で吹っ飛べばよかったなと。

俺も大概にこっち側の人間らしい。
 
 


「聖闘士神話」





「だーきしめたーこーころのコスーモー」
「なるほど大体の事情は理解しました。名前ネタというものだったのですね」

聖闘士星矢全巻をものすごい速度で読み終えたシオンがそんな事を言った。

「納得しちゃうんだ……」

むしろ名前以外共通点ないぞ。

「わたしは蟹座のデスマスクが大好きです」

こう断言できる琥珀さんはとても素敵だと思う。

「そして美形キャラ代表であるヒドラ市も忘れてはいけませんね!」
「……わかるやつのほうが少ないよ、そいつ」
「わたしはライオネット蛮のほうが……」
「うおおいっ?」
「シオンさんっ」
「琥珀」

がしっ!

ああ、二人の間に奇妙な友情が芽生えようとしている。

「というわけで今日は身内の方々をそれぞれ聖闘士にあてはめて遊ぼうと思います」
「それはとてもよい案ですね」

なんだか琥珀さんが二人に増えたみたいだ。

「志貴さんはやはりペガサスですかね?」
「いえ、トレミーにやられるアテナでもいいと思います」

トレミーというのは矢座の男の名前である。

劇場版に別のも出ていたが気にしないほうがいい。

なんせ師匠の師はわが師も同然の世界だから。

「では意識を失った志貴さんを助けるためには十二宮を突破しないといけないと……」
「十二宮編なんだ」

まあ確かにあそこのファンが一番多いと思う。

「真祖は白のイメージですからペガサスでもよいと思います」
「あー。微妙な影の薄さとか、なんだかんだ言って強いとことか合いますねえ」

何気に酷い事を言っているのは気のせいだろうか。

「ではドラゴンは誰に」
「シエルさんです」

何故か即答。

「どうして?」
「地……もとい、初期の聖矢とのライバルだからです」

ライバルって程ではなかったと思うのだが。

「脱いだ後のほうが強いというのは共通点では」
「脱いだ?」
「法衣を……」
「ああ」

完全武装状態か。

「なるほど」

厳密には違うが、模様が浮き出るところも似ている。

「というわけでシエルさんに決定です」
「このスピードだと全員決めるのにすごい時間かかりそうだね」

黄金なんか12人もいるんだし。

蟹や魚になりたいやつもいないだろう。

「キグナスは秋葉さまですかねえ」
「熱を奪うという点では一致します。クールクールといいつつ熱いところもですね」
「何より微妙に勝率が悪いのがポイントですね」
「初期は強かったんだけどなあ……」

進むにつれて黒星が増えている気がする。

「そしてアンドロメダは翡翠ちゃんでー」
「順当ですね」

これは確かにぴったりだと思う。

「そしてわたしがフェニックス!」
「マッスルリベンジャー?」
「そっちじゃありません!」

知ってる。

「聖闘士に同じ技は通用しないとか言っておきながらほとんど鳳翼天翔で倒してる一輝ですよ!」
「どのへんが共通点?」

似てるところあんまりない気がするんだけど。

「過去が暗いところです」
「イヤホント正直すいませんでした」
「うふふふふふふー」

確かにそのへんは色々似ている気がする。

「さて、これでメインは決定ですね」

シオンはとてもマイペースだった。

「わたしは前教皇のシオン役だと出番がないので改善を要求します」
「えー。ひとり二役ですかー?」
「なにせ人が少ないですから」
「まあ、それは確かに」

適当にあてはめればいいってもんじゃないだろうし。

「では現アリエスのムゥさんをシオンさんということで」
「良き判断です」
「次はアルデバランですが……」
「さつき一択です」
「ぴったりですね!」
「え、ちょっと?」
「では次!」

色々ツッコミたかったのに流されてしまう。

「サガは後まわしにするとして……みんなの人気者! デー様!」

ついにデスマスクは様までつけられてしまった。

「蟹は異論が出そうですね……」
「そうですねえ。悪役でしかもマヌケな感じなのがいいんですが……あ」
「いましたか?」
「ええ、思いついたんですが本人の自尊心を尊重して止めておきます」

一体誰なのか聞きたくなったが怖いのでやめておく。

「獅子座のアイオリア」
「ライトニングプラズマを使えるほどの素早い動きが欲しいですね」
「んー。都古ちゃんで」
「何ゆえ」
「聖矢ラブなところですかね?」
「別にラブじゃないし。しかも聖矢はアルクェイドでしょ?」
「……百合ってのもいいですねえ」

そういう問題じゃないから。

「次は神に近い男、シャカですが……」
「適任、いますかねえ」
「あー」

一人思い当たるけど言いたくないのでやめておく。

ちなみにその人は俺の恩師の先生なんだけど。

「では志貴の先生とやらで」
「え」

何故考えていた事がっ……

「……ってエーテライトっ!」
「失礼。志貴の案を参考にしたかっただけなのですが……」
「う」

瞳を潤ませての上目遣いはずるい。

「しょ、しょうがないな」
「ありがとうございます、志貴」

シオンは琥珀さんの悪いところだけ真似してるんじゃないだろうか。

「次、ライブラですが不在なんで省略ですね。その次は……」
「ミロです。スコーピオン」
「一撃でトドメをさせないので有名な人ですね」
「いや、わざとなんじゃないかな」

相手に苦痛を与えるなんちゃらとか言ってた気がするし。

「アンタレスが成功した事ないんですよね……」
「……確かに」

いい所は他のキャラに持ってかれるし、悲しいキャラである。

「ここはシエルさんを押したいですがさすがに敵味方で使い回しはしんどいので」

さてそれはどんな理由で先輩なんだろうなあ。

「乾さんあたりどうでしょう」
「アイツか……」

アイツにスコーピオンなんか勿体無いぐらいだが。

「対戦相手が秋葉だからなぁ」

油断して負けるという意味合いでは正しいかも。

「サジタリウスのアイオロスも死亡……と。次はカプリコーンシュラですね」
「ここは渋い人物を当てたいですね」
「ならば軋間さんでしょう」
「……うーん」

確かにあいつの渋さは異常な気がする。

「きっとエクスカリバーも使いこなせますよ」
「それはあるかも」

新技でチョップを……って何の話だ。

「アクエリアスのカミュ」
「秋葉と因縁のあるやつなんかいるか?」

しかも師匠キャラ。

「このへんに来ると無理が出てきますねえ」

そりゃ既存のモノに別のもんを当てようとすればそうなるだろう。

「まあ適当にワラキアさんあたりで」

酷い。

「ほら、竜巻で相手を閉じ込めたりは出来そうですよ」
「強引だなあ」

まあここまでくると今更って感じだが。

「そして最後に控えるのはアフロ!」
「そこで区切らないでください。アフロディーテでしょう」

これはまあ美形のやつじゃないと駄目だろう。

美形のやつ……はてさて。

「久我峰さんです」
「うぉおいっ!」

あいつの何がどうして美形?

「バラが似合いそうじゃないですか」
「……似合うか?」

一瞬想像して吐き気がした。

「いや、ここいらで意外性を出したほうがウケがいいんじゃないかなと」
「なんの話ですかっ!」

誰にウケを取るっていうんだよ。

「で、まあジェミニのサガになるんですが」
「これはもうレンしかあり得ませんね」
「レン……」

なるほど、白と黒か。

「白が悪役ってのも合ってるしな」
「ツンデレな性格がぴったりです」
「……あはは」

カガミの技でアナザーディメイションってか。

「はい。うまくまとまりましたね!」

途中かなり適当だった気がするけど。

「これはとてもよいものです」

どこがですか。

「さあ、志貴さん」
「……なんですか」
「レンさんかアルクェイドさんあたりに頼んでこれを現実にしちゃってくださいっ!」
「はぁ……シオン」
「了解しました」

とすっ。

「はうっ?」

琥珀さんにエーテライトを突き刺すシオン。

「鳳凰幻魔拳。これによって琥珀の精神は……」
「いやいやいやいや」
「冗談です。ですが……」
「キャー、イヤー! ウルフ那智がっ! ユニコーン邪武があああっ!」
 

シオンのおかげで琥珀さんはとても素敵な光景を見れているようであった。
 
 

「志貴もいかがですか?」
「……結構です」




あとがき
こういうのは構想している時が一番楽しいぞという話。
実際書き始めると色々大変なのですww
○○は**っぽいよな? みたいな会話を昔よくやったような気がします。
ちなみにこれをFATEでやった場合は魚はワカメ(爆


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