「で、出た〜! 乾くんと都古くんたちのスカイラブツインシュートだ!」

そして息の合ったツインシュートが放たれた。

「く、くそ! 間に合ってくれ!」

それでも諦めずに三角飛びを出すイチゴさん。

「だが届かない!」

ぶれながら進んでいくボールが、ゴールネットへと突き刺さった。
 

志貴チーム 2
琥珀チーム 1
 
 


キャプテン琥珀 
〜スーパーストライカー〜
その14







「いやったー!」

びしっと腕を天に掲げる都古ちゃん。

「みんな! やったじゃないか!」

三人に駆け寄っていく。

琥珀さんが怪しげな策を使ってくる前に点を入れる事が出来るだなんて。

「まさか次藤語を使う事になるとは思わなかったぜ」
「次藤語ってなあ……」

いや、確かに次藤語だけどさ。

「うまくいったよ」

蒼香ちゃんも嬉しそうだった。

「この点をなんとしても守り抜くんだ」

和夫、政夫、それに次藤。

全員ディフェンスの必殺技を持つメンバーだ。

防御が相当強化されたといえる。

「むむむ……まさか一子さんが抜かれるなんて……」

悔しそうな顔をしている琥珀さん。

「まあ仕方ないですよ。どんなキーパーにだって限界はあります」

シエル先輩が琥珀さんの肩を叩く。

「……次はわたしたちが攻める番です」
「う」

どうやら先輩が本気になってしまったようだ。

今までだって強敵だったのに。

「気をつけなきゃね」
「ああ」

先輩にボールが渡ったらスカイラブ攻撃でなんとかしてもらおう。

「……他力本願だと痛い目を見るわよ」

白レンが呆れた顔をしていた。

「う、うるさいなあ」

いっつも被害に遭ってるんだからこういう時くらい頼りにしたっていいじゃないかっ。

「行くわよ」

琥珀チームのキックオフ。

「ななこくんパスキャッチ!」
「ん?」

ボールは先輩ではなく何故かななこさんのところへ。

「行きますよー!」

そしてまっすぐドリブルをしてくる。

「そんなドリブル……!」

俺だってやる時はやるんだ。

「くらえっ!」

タックルを仕掛ける。

「蹴散らしますよー!」

強引に突っ込んでくるななこさん。

なんだか嫌な予感がした。

ずごっ!

「志貴くん吹っ飛んだー!」
「ぐおお……」

まさか強引なドリブル使いだったとは。

迂闊なタックルだったか。

「うぐ!」

地面に叩きつけられる俺。

「よし、行きますよマスター!」
「エッフェル攻撃に敵はいません!」
「ちょ……!」

今聞き捨てならない単語があったぞ。

エッフェル攻撃だって?

「誰か止め……」

シエル先輩はななこさんの後方にいた。

つまりこのパスを止められるわけがない。

「で、出た〜! 息の合ったコンビプレイに志貴チームの守りは突破されていく!」
「……くそっ!」

起き上がった時には既にななこさんはゴール前であった。

「む、無茶苦茶だよっ!」

弓塚が向かっていく。

「蹴散らします!」
「きゃあああ〜!」

弓塚は遥か彼方へ吹っ飛んで行った。

「弓塚はキャプ翼界の吹っ飛びがよく似合うなあ……」

なんでだろう。

「ってバカな事考えてる場合じゃなくて!」

ペナルティエリア内へ入ったななこさん。

「食らって下さい! これがキャノンシュート!」

足を大きく振り上げ。

「だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

超高速のシュートが放たれた。

「おっさん!」
「……ぬう!」

シュートへ向かってパンチを放つおっさん。

「ネロくん吹っ飛んだー!」
「なにィ!」

あのおっさんを吹っ飛ばしたっ?

「ボールはこぼれ玉になったー!」
「うわっ」

吹っ飛ばされてもただではやられないあたりがおっさんである。

「やるではないか」

ワラキアがこぼれ玉を拾う。

「私も少し戯れるかな」

地面を滑るように進んでいくワラキア。

「いつまでも調子に乗ってるんじゃないわよっ!」

アルクェイドがものすごい勢いのタックルで突っ込んでいった。

「ぐおっ!」

ワラキアが派手に吹っ飛んでいく。

「ゴールはからっぽだ!」
「げ!」

そうだ、おっさんはまだシュートを食らって吹っ飛んだままだったんだっけ。

「こっちですアルクェイド!」

シエル先輩がペナルティエリア内へ走っていく。

「オッケー!」
「おっけーじゃねえ!」

このパスをなんとしてでも止めなくては。

「……っ!」

レンが向かっていく。

だがボールには届かない。

「くっそう届けえっ!」

有彦も駄目だった。

「ナイスパスです!」

シエル先輩が低いボールに動きを合わせた。

「……わ」

傍にいるのは羽居ちゃん。

期待するだけ無駄とはわかってるんだけど。

「羽居ちゃん! なんとかしてくれっ!」

俺は大声で叫んだ。

「あ、うんー」

無理っぽいなあ。

「邪魔をする気ですか……ここは確実に!」

羽居ちゃんがゆっくりと向かっていく。

「シエルくんトラップ!」
「……だよなあ」

あんな動きで止められるはずなかった。

「余裕ですね!」

足を振り上げるシエル先輩。

ばしっ!

誰もいないゴールに向かってシュートを放った。

「こ、こんのおおおっ!」
「おおっ?」

弓塚がシュートへ向かって走っていく。

届くのかっ!

「だが届かない!」

……駄目かっ!

「決まりましたねっ!」

ガッツポーズを取る先輩。

「いや……まだだ」
「おっさん!」

いつの間にか倒れていたおっさんが復活していた。

「ど、どうして……はっ!」

倒れているキーパーが復活するにはある程度の時間が必要とされる。

キャプ翼ゲーでは、色々な行動を行う事で時間が減っていくのだが。

「先ほどトラップをしただろう」

このゲームのトラップは、無駄に時間がかかるのだ。

もしかして羽居ちゃんはわざとそれを狙って……って考えすぎか。

「そして黒猫や弓塚たちがボールカットに飛んだ時間も……無駄ではなかった!」

とにかくそれらの時間をつかってネロのおっさんは復活したのである。

「このシュートは必ず止める!」

おっさんは宣言通りがしっと片手でボールを掴んだ。

「し、シエル先輩っ!」
「くっ……しくじりましたっ!」

この攻めを防ぐ事が出来たのはかなりのポイントだ。

「反撃だ!」

俺は叫んだ。

「確実に決めろ!」

ボールが大きく蹴り上げられる。

「行きますよっ!」

秋葉がボールを受け取り走り出した。

「……うっ」

だがすぐに足が止まる。

「ふっふっふー。速攻で攻めていったのはシエルさんたちだけですから。防御は余裕で残ってるんですよー」

琥珀さん、白レン、シオンに翡翠までもが秋葉を取り囲んでいた。

「ふん……だからどうしたっていうのよ」

後ろに向かってボールを蹴ろうとする秋葉。

「おやおや逃げるんですか?」
「!」
「あ、秋葉っ!」

そんな安い挑発に……

「上等です!」

乗ってしまった。

「覚悟しなさい!」

四人に向かってドリブルで突っ込んでいく秋葉。

「うわ、おっかないですねー」

琥珀さんは動かなかった。

「猪突猛進ね」

白レンも動かない。

「ば、バカにしているんですか……!」

秋葉の怒りが頂点に達したその瞬間。

ずさっ!

シオンのタックルがボールを奪い取っていた。
 

「これも戦略ですよ、秋葉」
 
 

続く



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