「というわけでチーム編成しましょう。知り合いの強そうな人の名前を上げていって、ある程度揃ったらまとめて呼ぶって事でどうでしょうか」
「いいね」

元々俺の知り合いはとんでもない連中ばっかりだし。

トンデモサッカーの世界に簡単に馴染んでくれるに違いない。

「楽しくなってきたでしょう?」

琥珀さんが尋ねてくる。

「……うん」
 

策にはまってしまったようで癪だったけれど、頷くしかない俺であった。
 
 

キャプテン琥珀 
〜スーパーストライカー〜
その3








「じゃーんけんぽいと」

俺がグー。琥珀さんがパー。

「……負けた」

際先悪いスタートである。

「あはっ。ではわたしから選ばせて頂きますね。レンちゃん。メモ宜しくお願いします」

こくり。

どこからともなく紙とペンを取り出すレン。

この夢の世界ではまさに神様みたいな存在である。

「ではアルクェイドさんを頂きます」
「うわ、いきなりそりゃないよ」

そんな最強キャラを選ぶなんて大人気ない。

「ふふふ、これは勝負ですから。やるからにはとことんです」
「……くそぅ」

最強のストライカーを取られてしまった。

キャプ翼2だったらコインブラ。

3だったらシュナイダー。

4だったらファンベルグである。

「……だったら俺は最強のディフェンスを取らせてもらう」

キャプ翼ゲーは一見攻めが重要なように見えるが、実は守りのほうが重要なのだ。

攻めが強力でもキーパーがザルじゃ話にならない。

「最強のディフェンス……そんな人いましたっけ?」
「ああ。ネロ・カオスのおっさんだ」
「うわー……」

顔をしかめる琥珀さん。

「それはそれでずるいですよー」
「夢のなかだからなんでもありだろ?」

反則キャラには反則キャラで対抗するまでだ。

「あのおっさんならダークイリュージョンとか普通に使えるに違いない」

守備範囲も無茶苦茶広そうだし。

「だ、だったらこっちはシエルさんですっ! 埋葬機関の力で足止めですよっ!」
「ならさらにワラキアを入れてやるっ! あいつカットとかすげえ上手そうだからなっ!」

などとそれぞれ無茶苦茶な理由で選手を増やしていく。

「……し、志貴さん。ちょっとタンマです」
「なに?」

四人目あたりを決めたところで琥珀さんがすっと手を出した。

「このままだと、かなり偏ったチームが出来てしまいます」
「確かに……」

二人ともサッカーの強さというよりキャラの濃さで入れちゃってるからなあ。

「なんで、残りの人はレンちゃんにランダムで入れてもらうってのはどうですか?」
「……むう」

琥珀さんからこんな事を言い出すなんて。

どうにも怪しいが。

「まあ、構わないさ」

もし何らかの策があったとしても、その策ごと叩き潰さなきゃ琥珀さんに勝ったって言えないからな。

「ではレンちゃん。お願いしますー」
「……」

首を傾げているレン。

「あ、えーとね。適当に俺たちが知ってそうな人をメンバーに入れてくれればいいから」
「……」

かきかき。

レンは俺たちが選んだ選手に加えてメンバーを付け足していった。

「出来た?」

こくり。

俺と琥珀さんにそれぞれ紙を渡してくれる。

「……えーと」

俺のチームのメンバーはこんなもんだった。

遠野志貴
ネロ
ワラキア
遠野秋葉
レン
乾有彦
有間都古
月姫蒼香
三澤羽居
弓塚さつき
こアルク

「……なんか一般人多いな」

このメンバーでトンデモサッカーを出来るんだろうか?

「つーかなんでアルクェイドがこっちにもいるんだ?」

レンに尋ねる。

「……」

見ての通りの事らしい。

さっぱりわからない。

何故かこが最初についているのはわかるけど。

書き間違いでもしたのかな?

「うふふふふ。いい感じに揃ってますよー」

琥珀さんは紙を見てニヤニヤしてるし。

あっちのメンバーがわからないのが不安だ。

「ささ、ポジション決めましょう。考えて配置しないと後悔しますからね」
「……ポジション……」

このメンバーでポジションねえ。

琥珀さんの最初に選んだ四人を思い出してみる。

アルクェイド
シエル
シオン
翡翠

「うーむ」

見事に美人揃いだ。

じゃなくて。

「アルクェイドと先輩はフォワードだろうからなあ……」

ディフェンスを気持ち強めにして、オフェンスは必要最低限のメンバーでいくか。

考えつつポジションを決めていく。

「できたよー」
「こっちもです」

お互いポジションセット終了。

「では後は皆さんを呼んで貰うだけなわけですが。厳密に言うとそれは本人であって本人でありません」
「夢の中だからね」

俺みたいに琥珀さんと近い位置で眠ってなきゃ夢に巻き込むのは無理なわけだ。

「だから、一般人の方にはキャプ翼補正がかかっています」
「キャプ翼補正?」
「わかりやすく言えば誰かしらのキャプ翼キャラの能力を持っているという事ですね」
「……つまり有彦が顔面ブロックしたり?」

あいつは補正なくても普通にやりそうだけど。

「翡翠ちゃんとわたしでゴールデンコンビとかですねー」
「むしろジェミニアタックじゃない?」

どっちにしろ二人はコンビプレイで攻めてきそうだ。

「補正はランダムです。誰が誰になってるか当てるのも楽しいかもしれません」
「ふーん」

わかりやすいキャラだったらいいけどなあ。

いや、それよりも。

もし森崎くんなんぞになられたら目も当てられない。

「なるだけ強いのにしようね?」
「それはレンちゃんの気分次第ですよー。ではではお願いします」
「……」

レンが胸元あたりで両手を合わせ、ゆっくりと開いていく。

手と手の間に淡い光が見えた。

「光が広がっていく……」

一瞬視界が真っ白になった。

そして次の瞬間には。

「うおっ」

さっき言った人たちが全員揃っていた。

「すげえ……」

まるっきりマンガみたいだ。

「夢の中ならではですね」
「確かに」

現実でこんなんやったら詐欺だぞ。

「あれ? 志貴じゃない。こんなところで何してるの?」

アルクェイドが俺の姿を見つけ、話掛けてくる。

「う……」

俺はアルクェイドの姿を見てたじろいだ。

「お、おま」
「ん? なに?」
「なんで……ブルマ?」

アルクェイドだけではない。

他の女性陣全てが体操着にブルマという姿であった。

なんて素晴らしい光景だろう。

夢バンザイ。

ブルマバンザイ。

「んー。多分誰かさんの邪念がレンに干渉したんじゃない?」

にこりと笑うアルクェイド。

「う」

もしかして、俺か。

「志貴さんえろえろですねー」
「う、うるさいなあ」

いつの間にやら琥珀さんもブルマ姿になっていた。

健康的で実にいい。

普段見れない太ももがとても眩しかった。

「……男はそのまんまだし」

ちなみに野郎軍団はまるっきり普段着のままである。

もしブルマ姿になんぞなってたら、直死の魔眼が発動していたかもしれない。

「ま、わたしはこっちチームじゃないから志貴の応援は出来ないわね。精一杯やりましょ」
「おう」

アルクェイドは琥珀さんのほうへと歩いていった。

「……ウチのアルクェイドはどこにいるんだ?」

俺の知っている限り、アルクェイドはあいつしかいないぞ?

もう一人いるってどういうことなんだろう。

「にゅふふふふふふ。アチキを探しているのかいボーイ? アチキはここだ。ここにいるぞー」
「うん?」

下のほうから声が聞こえた。

なんだと思い見てみると。

「……おまえ何?」
 

謎の生物がそこに立っていた。
 

続く



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