「やはり貴方が犯人だったのですね」
「いやだから違うってば」

何かおかしい事が起こっている。

「いや、正直に答えてくれ。大事な事なんだ」

さっき見た弓塚は間違いなく……

「……白、だけど」
「……」
 

ドッペルゲンガー?
 
 


『ななこ・すーぱーがーるカンパニー』
その122




「やれやれ」

大げさにため息をつくシオンさん。

「さつきの悪ふざけにも困ったものですね」
「え?」
「……どういうことだ?」

話がさっぱり読めない。

「つまりさつき、貴方自演の犯行だったということです!」
「えええっ!」
「……あんだって?」
「さつき、ちょっとこっちに来なさい」
「え、シ、シオンっ?」
「いいから来なさいっ」
「あ、あう〜」

珍しく強引なシオンさんに引っ張られていく弓塚。

二人はそのまま廊下へ出ていってしまった。

「どうなってるんだ……?」

オレはわけがわからず呆然としていた。

「は!」

そして気がついた。

もしやシオンさんは弓塚の履いているパンツを確認しようとしているんじゃないか?

白のパンツを履いているというのは勘違いで、実は青のストライプのパンツを履いてましたというオチ。

弓塚なら大いにありうる話だ。

なんせ天然だからな、アイツは。

「ということは……」

今廊下では確認作業が行われているはず!

つまりスカートの中身を以下略。

「……にしては妙に遅いのが気になるが」

もしや百合か、百合なのか。

「心配だから覗いてみようかな」

もしかしたら何かあったのかもしれないし。

ほら、男としてはやらなきゃいけない事があるじゃないか!

「……」

まずは壁に耳を張り付け様子を伺う。

「シオン、駄目だよそんな……」
「正直ですね、さつきは……」

うわぁい、なんだかとっても怪しい会話だ!

冗談だと思っていたがまさかマジなのか。

よし、オレも混ぜろ。

「何やってるんだ二人ともっ!」

ばっと廊下に飛び出すオレ。

「わあっ!」
「……意外と来るのが遅かったですね」

弓塚とシオンさんの反応はものすごく対象的だった。

「……っ!」

弓塚は後ろ手で何かをポケットにしまっていた。

ワイロでも貰ったんだろうか。

「ほら、さつき。言いなさい」
「え、でも……」

指をもじもじと交差させている弓塚。

「恥ずかしいのでしたらわたしから言います」
「どういうこった?」
「……ええ、今確認したのですが」

やっぱりしたのか。

「さつきの勘違いだったようです」
「なんだ」

フタを開ければつまらないオチだった。

「しかし証拠を見ないと信用できんなぁ」

なんて思いっきりセクハラ発言するオレ。

これはあくまで美形でかっこいいオレだから通用するネタであって、よい子のみんなは決して真似をしなように。

「え、そ、それは……」
「さつき」
「……あ、うん」

どこかぎこちなく頷く弓塚。

「いやマジでやらんでもいいから」

さすがに嫌がるのを無理やりというのはよろしくない。

「変な事で疑っちゃってごめんね」
「いや正しい判断だろう」
「自分で言わないください」
「はっはっは」

このまま紳士的に終わってもよかったのだが、それでは乾有彦としての名がすたる

「隙ありっ!」

ここは弓塚のパンツをみた詫びとしてシオンさんのパンツも拝み、おあいことするのがベストだろう。

何のベストかは知らん。

「えっ!」

シオンさんはまさかオレがこんな行動に出るとは思わなかったのだろう。

まるで無防備な姿を晒していた。

そしてこのオレの百戦錬磨の必殺技が炸裂する。

「奥義、スカートめくりっ!」

華麗なる手の動きによるスカートめくり。

無駄な動作など一切ない。

ただひとつのものをめくるためだけの事に全神経を集中し、可能な限りのスピードでそれを行ったのだ。

まさに神技といえよう!

なんてバカな事を考えている間にシオンさんのスカートがめくれていく。

そして視界の中にその神秘の光景が映り

「え」

ない。

「な、なななななななななな」

おかしい。ありえない。

シオンさんと言ったら縞パンだろう。

いやまるで根拠はないがそうだ。

それこそ弓塚の履いていたという青のストライプは、シオンさんのものなのではないかと疑うくらいに。

さあ問題。

シオンさんのパンツは何色だったでしょう。

白。

青。

赤。

意表をついて黒?

残念ながらどれも違う。

何故ならそこを覆い隠してあるべきである存在がそこにはなかったのである。
 

つまり、はいてな
 

ドゴォッ!
 

残念ながらそこでオレの意識は尽きてしまった。
 
 
 
 
 
 

「はっ!」

気付くと布団の上だった。

「まさか夢?」

今までのは夢だったというのか?

「なんてこった……」

弓塚のパンツも、シオンさんの理想郷も全てはオレが見た幻想だったのか。

まあそれも仕方の無い事なのかもしれない。

男たるもの誰しもそんなエロい妄想をして夢を見るものだ。

「……まあでも夢でよかったのかもしれない」

そうじゃないと今後色々と問題が起きそうだからな。

「……」

取り合えず夢の光景を忘れないようはっきりと記憶にとどめておこう。

絶対に忘れてなるものか。

「……しかし」

夢だからどうでもいいとしても、なんでシオンさんはパンツを履いてなかったんだろう。

普通あり得ない。

「どっかで脱いだとか」

いや何故脱がなきゃいけないんだ。

「実はシオンさんのパンツを弓塚が履いていた」

意味がわからない。

「……」

まあ夢の話をそんな考えたってしょうがないんだけど。

「ホントに夢だったのかあれは……」

実は現実世界の話だったりしないんだろうか。

「そんな都合のいい話はないか」

どんな世界の話なんだよ。

「ただ今戻りました〜」
「……お」

なんて事を考えていると非現実担当が現われた。

「どこ行ってたんだよ」

まあある意味いなくて助かったけど。

夢だったとしても寝言とか表情とか凄かっただろうしな。

「マスターに呼ばれたんですよ。マンガ読んでる途中に呼ばれたじゃないですか」
「マンガ……?」
「ほら、週間の」

ななこは床に落ちていたマンガを拾う。

「……それ、夢の話じゃないか?」
「何ワケわからない事言ってるんですか?」
「……」

窓の外を見る。

太陽の光が輝いていた。

「時間は過ぎてる……」

夜の街を歩いて遠野とアルクェイドを見つけて、帰ってきたらシオンさんに下着ドロボウと疑われて。

「オレ、どっから寝てたんだ?」

どこからが夢で、どこからが現実だったのか。

わからない。

「有彦さん……?」

なんだかワケがわからない。

わからないけれど。

「何かが……おかしい」
 

平穏とは違う、非現実の世界に巻き込まれてきているような悪寒がするのであった。

まあパンツやら何やらが拝める非現実なら大歓迎だけどな!
 




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